花山天文台 絵葉書 第一集


絵葉書の発行元は、天文同好会(現在の東亜天文学会)の京都支部「京星会」です。手元にある天文同好会の機関紙「天界」の昭和七年の三月号に掲載された販売広告よると第三集まで発行されたようで、第二集は「花山天文台の尖端的な観測装置」、第三集は「いろいろの天体写真」となっています。売価はそれぞれ10銭です。

花山天文台の完成は昭和4年10月で、主要な建物は9メートルドームを持つ本館、第二赤道儀室と呼ばれる別館、子午線儀館、太陽館、宿舎などで他にカルバー製46センチ反射式望遠鏡、ブラシア製25センチ反射式望遠鏡、ハイデ製10センチ屈折式望遠鏡などをそれぞれ個別に収める小家屋がありました。

絵葉書が収められた袋のおもてと内側です。内側の道路図は、天文台のある花山山(かさんやま)のふもとの国道から天文台までの道順を示していますが、分岐点や急カーブなどの要所ごとに「トレミー」「ケプラー」「ニウトン」等の天文学者名を冠しているのがわかります。

天文台本館玄関と本館全景です。本館の設計は京都帝国大学工学部建築学科の一期卒業生の大倉三郎でドーム施工は神戸の川崎造船所です。

9メートルドーム内にクック製30センチ屈折式赤道儀が収められています。

天文台別館(第二赤道儀室)5メートルドーム内にザートリウス社製18センチ屈折式赤道儀が収められています。望遠鏡の対物レンズはツアイス社製です。

ドーム施工は本館と同じく神戸の川崎造船所です。

子午儀室で、ドイツ製バムベルヒ型9センチ子午儀が収められています。

なお、この絵葉書集では、太陽館の写真がないようですが、太陽館の南側建物外にグラブ社製42センチシーロスタット及び30センチシーロスタット、ザートリウス社製15センチシデロスタット(シーロスタットに改変可)が設置されており、太陽館内にはこれらによって導かれた太陽光線を観測(または撮影)する機器が置かれていました。


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